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北斎,広重と並ぶ川瀬巴水

川瀬巴水(かわせはすい)(1883~1957)
今年テレビ「美の巨人たち」でやっていたときにへぇと思いながら見ていました。Kiba_1 そんな版画家がいたんだとその時知りました。
そして先週の金曜日(8月25日)朝日新聞の夕刊にニューオータニ美術館での展覧会の記事が1枚の絵と共に「一展逸点」欄で紹介されていました。
それが「木場の夕暮」(1920秋。渡邊木版美術画舗所蔵)という左の1枚です。一通りの紹介の後に「雨上がりの風情を描いて巧みであり、雪景も良く、夕景さらに良し。」
またこの絵の説明として編集委員の田中三蔵さんはこういう表現されていました。
「暮れなずむ川面の、橋や電柱の影は静かにたゆたう。」結びに「よく見ると橋の上に、人影がひとつ。作者のその後の旅と孤高の人生を思いやってもよいが、その孤影に仮託して、失われた風景への郷愁にひたるのも一興だろう。」と。
記事の題が「郷愁誘う失われた風景」

9月3日まで ニューオータニ美術館 (ニューオータニホテル 6階 赤坂見付駅)

大正・昭和の風景版画家 と 言ってしまえばそれまでですが、欧米人は彼の版画に、北斎、広重と並ぶ素晴らしさを感じて高く評価しているようです。
googleで hirosige utagawa=167,000 hokusai katusika=325,000 hasui kawase=134,000 と 東海道五十三次の広重と英語圏ではそう変わりません。ちなみに漢字だと 歌川広重=174,000 葛飾北斎=271,000 川瀬巴水=40,900 注目度の低さは歴然です。

Ochanomizu 彫師、刷師と呼ばれる人との分業制、旅に出てみたらと薦める版元がいて、正に江戸時代の浮世絵と同じ手法で製作された作品群は本当に素晴らしいです。左の絵はお茶ノ水を描いたもの。1926年ですから80年前の風景ということになります。
雪が激しく降っている様子がとてもよく描かれています。雪がぱらぱらと降っていたり、積もった雪景色はよく見ますが、こんな激しい雪が描かれているのは浮世絵でも風景画でも珍しいように思います。そうしてよく描かれています。
波打つように、うねるように、雪が吹き付けている空間がたくみに描かれています。他の絵でもそうですが、見えている形以上にその場の空気を伝えてくれます。温度や湿度、雨のしずくの大きさ、強さ。風・・。
80年前の日本の空気を伝えてくれる作品群は正に失われた風景への郷愁にひたらせてくれます。

※会場には版画作成の工程を映像でまとめた40分程のビデオが繰り返し流れていて、これも見ると1時間半くらいはあっと言う間に過ぎてしまいます。

※ 掲載した画像は 海外のHANGAのHPhttp://www.hanga.com/)の 
             KAWASE HASUI から。

※関連ブログ記事 LINK

「新版画と川瀬巴水の魅力」 ニューオータニ美術館 8/5 @はろるど・わーど
展示会と連携して開催された 「新版画と川瀬巴水の魅力」という講演会の内容あり。

大正・昭和の風景版画家 川瀬巴水展(後期)Art & Bell by Tora
今回の展示作品の主なものは ここ川瀬巴水展:ニューオータニ美術館 〔前期・後期)
 @美術散歩(ルネサンスから抽象絵画まで)

川瀬巴水との出会いばんどわごん
おなじようにTV「美の巨人たち」もご覧になっていた3年前からチェック済みの目利き(?)のブロガーさん

※わくわく日記では2004.04に川瀬巴水に触れていました。記事は「週刊新潮と春画」その中で海外サイトを紹介していて「川瀬巴水の作品も多数あります。」と突然触れています。今となっては覚えていませんが。(>_<)

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コメント

ご連絡ありがとうございました。
拙サイトを紹介していただき恐縮です。

なお講演会のメモは↓に載せてあります。
http://cardiacsurgery.hp.infoseek.co.jp/Lecture.htm#061805
前期のブログもTBします。

投稿: とら | 2006.08.29 08:20

こんにちは!
TBとLINKありがとうございました!
「木場の夕暮」は私も好きな作品です。
巴水の風景は懐かしかったり新鮮だったり、多彩な持ち味があってステキですよね。
また、色々なところで巴水が取り上げられたら嬉しいです。

投稿: コアミ | 2006.08.29 18:36

>とらさん
特に美術中心のブログではないので恐縮ですが、逆に広く知って欲しい作家ですよね。甲子園ファンや、飛行機ファンにも。コメントありがとうでした。

投稿: | 2006.08.29 22:29

>コアミさん
そうですね、懐かしい部分と、構図が新鮮だったり、描かれている風景自体が自分達にとって見たことのない風景として新鮮だったりしますね。コメントありがとうでした。

投稿: | 2006.08.29 22:35

はじめまして。はろるどと申します。
拙ブログを引用していただきどうもありがとうございました!

>80年前の日本の空気を伝えてくれる作品群は正に失われた風景への郷愁

そうですよね。
また巴水の版画の中で、
少しずつ変化(電線など。)していく風景の様子も面白かったです。

先日後期展示を拝見してきました。
googleで検索すると英語と日本語でそんなに違うのですね!
これを機会にまた日本でも人気が高まればと思います。

投稿: はろるど | 2006.08.30 00:18

>はろるどさん
江戸の浮世絵には電信柱は出てこないし、平成の都会の写真にも「木場の夕暮」のような電信柱はないですね。googleは単純に比例しているとは言えないと思いますが、ひとつの目安にはできるんじゃないかと思っています。
他にも新版画の作品は欧米での評価が高いようですね。コメントありがとうでした。

投稿: | 2006.08.30 08:17

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