銀座のクラブ
kakoさんの「私の知らない世界」を読んで思い出したことがありました。もう20年近く前に一度だけ銀座のクラブに行った事があります。そのときは自分は関東の会社で派遣で働いていました。たまたまの巡りあわせで、北海道から会議で来ていた上司である札幌の支店長のお供で、銀座のクラブに行くことになったのです。東京の本社の役員の方と、取引先の方も一緒で、場としては支店長が接待を受けるという感じの場だったように思います。
まず、「じゃ、タクシーで行くよ」と言うのにそのとき自分は「なんて贅沢な」と思ったものでした。まだ電車も動いている時間なのに・・と(笑)。タクシーは常識。運転手つきの車で乗り付けるという形が銀座のクラブへの移動手段。見送りも当然お車に乗って帰るのを見送るわけです。そんな話を聞きながら店に着きました。
僕を含めて5人か6人全員男の客。それにお店の女性が4~5人。楕円形の席に、ほぼ男女交互に座ります。高そうな革張りの椅子、キラキラきれいなお店の様子。それにもまして、女性の皆さんのまぁ綺麗なこと。美しいこと。客層は若くて30代半ば、50代以上がメインという感じです。これは場違いなところに来てしまったなと思いつつも手際よく水割りが作られ「乾杯!」。
私と支店長の間に座った女性も、笑顔の素敵なそれこそ米倉涼子さんをもう少し優しく知的にしたようなイメージの女性(あくまでもイメージだけです。具体的なものは何も覚えていません)でした。「お若いですよね。年配の方よりも若い人はやっぱりキラキラしていますものね。私と同じ。」等と言いながら、支店長よりも、どちらかと言えば僕のほうに何かと話し掛けてくるのです。基本的には聞いてくることに答えているだけなのですが、それでも会話をしているような気分になっていました。「へぇ、そうなんだ」「うふふ、面白い」なんて非常にタイミングよく、少しだけ過剰な反応でその気にさせられていたんだなと、今はわかります。
そのうち、さりげなく自分の太腿に、彼女の手なんか添えられたら、「あいやぁ~」という感じで、「ところで、隣りの支店長さんはどこのご出身?あ、小さな声でね」「おいおい、なんだかそこの二人仲良すぎないか?」などという外野の声にも「ごめんなさい、ちょっとお仕事忘れてました。若い人と話すのひさしぶりで」なんて答えながらも支店長の趣味やら、年齢やら自分に聞いてました。
さて、彼女の仕事は実は、ここからでした。「あ、ごめんなさい。なかなか若いけれどしっかりしてらっしゃるし、素敵な社員さんですね。支店長さん。」と支店長に鉾先を変えてから。
「支店長さんは北海道の支店長とお伺いしましたけど・・、出身も北海道ですか?」「あら?違うんですか?じゃあどちらでしょう。南の方のような気がしますけど・・、ひょっとして正反対の沖縄とか?」「そうなんだよ、ずばり正解。よくわかったねえ。」僕から聞いたネタを巧に使って、楽しい会話が続いたのでした。時折僕にナイショよと言わんばかりの軽いウィンクしながら。そのウィンクだけで、僕はニコニコしていたのですから、チョロイものです。
店を出てから支店長は「勘の良い女性だったねぇ。それに興味のある範囲が僕とおんなじでさぁ。話はずんっじゃんったよ。いやぁ楽しかったなぁ。銀座のクラブだからツンとしているのかと思ったら違うねえ」とすっかりご満悦。「今日の日経にさぁ・・」 という話に「あぁ、どうなんですか?あれ。ひどい話ですよね」とちゃんと世間話として会話についていける女性でした。引き出しはちゃんと沢山持っていて、どの引き出しを開ければ良いのかを僕に事前リサーチした。という所だったのだと思います。
ちなみに、その彼女はママでもなく、4~5人来た女性の中では位としては真ん中か、それより下という感じでした。接客というのはこういうことかととても感心したのを覚えています。
「何か面白い話ない?」「カラオケで何か歌って」「飲まないね。もっと飲もう」「飲んでいい?」そんなパタンの会話しかない、アルバイトだかフリータだかわからない女性しかいない、安いスナック位しか知らなかった自分には同じお酒を飲む場所でも「自分の知らない世界」だと感じた20年前の「銀座のクラブ」なのでした。
| 固定リンク
「日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事
- 免許更新と認知機能検査(2018.03.17)
- 日がな一日四十雀(シジュウカラ)癒しの時間(2018.02.25)
- 七草粥(2018.01.07)
- お願いです。高く買わないでください(2018.01.06)
- 謹賀新年(2018.01.03)
「昭和」カテゴリの記事
- たちぽんと獺祭と小百合さん(2018.01.14)
- 今でも聴きたい!60~70年代フォーク&ニューミュージックベスト30(2017.01.15)
- 作詞家 永六輔さん 逝去、ザピーナッツ伊藤ユミさん 逝去(2016.07.12)
- ダークダックスのマンガさん亡くなる。(2016.06.23)
- 週刊現代@セブンイレブン限定(2016.01.05)
コメント
若かりし頃の惑さんがときめいている(舞い上がっている?)姿が目に見えるようです(^^)。
銀座あたりの一流クラブの女性はたいしたものです。美しさを保つ一方で、新聞はもちろん、経済誌なども複数購読して、どんな話題が出ても話ができるように勉強しているようです。美も知識も気配りも一流でないと勤まらない仕事ですよね。
OL時代、お付きでそこそこのクラブに行ったことがありますが、女性客にもちゃんと気を遣ってくれて、「かなわないな」と思ったものです。
投稿: Tompei | 2004.12.12 10:15
ふーむ(^_^)
なかなか勉強になりました☆
銀座のクラブの女性テクを学びたいものですわ。ホホホ(^m^)
ネッ(^_-)-☆ウィンクっ。。。
・・・・・だめ?!
投稿: メイリ | 2004.12.12 19:23
惑さん、こんばんは。トラックバックありがとうございます。
むうう。なるほど。いや、一言「あっぱれ」という感じです。やはり、「一流」というのはすごいのですね。
支店長さんにお話を合わせたことも素晴らしいなあと思うのですが、何より情報を仕入れさせてもらった惑さんに対しても、秘密を共有したことで親近感を抱かせる・・。どうやら学ぶことが沢山ありそうです。
投稿: Kako | 2004.12.12 23:16
>tompeiさん
OL時代というと、やはり少し昔の銀座。今も同じなのか変わってきているのかはわかりませんが、一流の中の一流は何にしても学ぶものがありますね。
投稿: 惑 | 2004.12.13 07:31
>メイリさん
日本で一番わがままなお年よりを相手にしている銀座のホステスさんから学ぶものは多いかもしれませんね。社長になっているのは人の言うことを聞くのがいやだから という答えもあるくらいですからね。
>ネッ(^_-)-☆ウィンクっ。。。
う~んクラクラッ(^_^;)
投稿: 惑 | 2004.12.13 07:50
>kakoさん
>どうやら学ぶことが沢山ありそうです。
気持ちよく時を過ごしてもらって、また来たい、また逢いたいと思ってもらって、何度も足を運ばせるようにするプロの技。
魅力的に見せるためには、それなりに自己投資もしているようですしね。全てを学ぶのがよいのか、知らない侭がよいのか。
でも、一流に学べる「部分」はありそうですよね。
投稿: 惑 | 2004.12.13 07:58